馬たちの寝床
馬房は普段、開けたままにして、馬たちが自由に出入りできるようにしている。
馬たちは、夜は馬房に帰って寝ているかというとそうでもなく、放牧場の端っこで寝ていたり、ちょっと砂が敷いてある丸馬場で寝ていたり、その日の気分で寝る場所も決まるらしい。
朝、エサをやってボロ(馬糞)を拾って歩いているときに、いかにも馬たちが寝ていたような跡を見つけて、ああ夕べはここで寝たんだなと思ったりしている。
なので、馬房には、あまりフカフカになるほどの敷料は敷いてないけど、適当に籾殻を入れていた。
それも、9月に入って詩が出産し、しばらく親子を馬房に入れていたときに、ストックしていた分は全部使ってしまった。
籾殻は、秋の収穫が始まると、農協のカントリーエレベーターというところに行けばもらえる。
10月なら日曜も開いているけど、なかなか取りに行けずに、早く行かなきゃと思っているうちに寒くなってきてしまった。
先週、やっと休みを取って、取りに行った。
軽トラにあおりを立てて、最寄のカントリーエレベーターへ。
籾殻は、大きなサイロに貯めてあって、下に軽トラで乗り付けて、上から落とすような形になっている。
奥のレバーを引くと籾殻がバーッと落ちてきて、手前のレバーを引くと止まる。
このタイミングが意外と難しい。
奥のレバーは固いんだけど、あまり強く引いてしまうと、あっという間に軽トラはいっぱいになってしまう。
以前、車屋のマコっちゃんという友達に頼んで、一緒に来てもらったことがある。
マコっちゃんは、固いレバーを思いっきり引いた。
ブォァァァァ!という音と共に、ものすごい量の籾殻が落ちてきた。
自分も軽トラごと埋まるんじゃないかと思うような勢い。
ドリフのコントのようだった。
マコっちゃんは、あわてて手前のレバーを引いて止めた。
そして、逃げるようにカントリーエレベーターを後にした。
しかし、軽トラに山盛りになった籾殻は、バーバーザーザー後ろに飛ばされていく。
籾殻の威力は大変なもので、細かい粒子で、フロントガラスは真っ白になってしまう。
「わはは、後ろの車、すげー車間距離あけてる」とマコっちゃんは喜んでいた。
後ろの車は、100mはありそうな車間距離を保っていた。
もっとも、喜んでいる場合ではなく、人間の目にもダメージがあって、1週間くらい目が腫れてしまった。
今回は、それに比べたらもうちょっとはマシだったけど、あおりの隙間などから、多少籾殻をまき散らしてしまった。
もっと工夫が必要だと感じた。
上の黒い筒みたいなところから籾殻が落ちてくる
なぜか籾殻に顔を突っ込んだ詩
ブホッ!
新米の籾殻に陽も興味津々