馬たちとマコっちゃんとオダちゃん
楽がうちに来たのは、2015年1月、生後8ヶ月のときだった。
広い牧場で自然交配によって生まれた楽は、人に触られた経験がほとんどなかった。
うちに来てから、毎日少しずつ体に触るようにして、だんだんブラシをかけたり、タオルで体を拭いたりすることができるようになっていった。
鞍を付けられるようになると、今度は馬房の中で、跨がったり降りたりを繰り返し、いよいよ人が乗って引いて歩く段階にきた。
これまでは、ひとりでも何とかなったけど、誰かが乗って、誰かがリードを引くとなると、もうひとり必要になる。
というわけで、この冒険的な挑戦に付き合ってくれたのが、馬房を作ってくれた大工さん、そして、放牧柵を作ってくれた車屋のマコっちゃんだった。
以前、ボランティアをやっていた牧場で知り合った2人だけど、彼らは修繕などの仕事をしていて、直接馬に関わることはなかった。
それでも、馬たちのことを大切に思ってくれていて、いざというときは、いつも力になってくれた。
大工さんが週末に来ていた頃は、どちらかが乗って、どちらかが引くという練習をしていた。
最初はほんの数メートル、慣れてくると、丸馬場で1周2周と引いて歩けるようになった。
ところが、大工さんが会社の社長になってしまい、忙しくてしばらく来られなくなってしまった。
そこで、マコっちゃんに助けを求めた。
マコっちゃんは、さらに助っ人を連れて来てくれた。
放牧柵を作るときも手伝ってくれた、友達のオダちゃんだった。
もうある程度、引いて歩くことはできていたけど、この日、2人が来てくれたことで、私の手が空いて、初めて写真を撮ることができた。
ちょっと心配したけど、2人に懐いていた楽は、落ち着いて歩いてくれた。
やっとここまで来たんだなあと、忘れられない、思い出の日になった。
うちに来た頃の楽。タヌキみたいな顔をしていたので、タヌ吉と呼んでいた。
だいぶ大きくなった楽。マコちゃんに鞍の付け方を説明して、馬房の中で付けてもらった
引いて歩くところを撮れたのは、これがはじめてだった。