陽と女の子
馬は、ヒヒーンと鳴くんでしょ?と、友達によく言われる。
私のこれまでの印象だと、馬がヒヒーンと鳴くのは、離れている群れの仲間を呼ぶ時、だと思っていた。
馬たちは、ヒヒーンのほかにも、いくつか鳴き声がある。
詩の場合、エサがほしいとき、家の中が見えるところに来て、人間に向かってブフフン!と怒ったような声で鳴く。
詩がヒヒーンと鳴く時、それは、群れの仲間を呼ぶ時とは限らない。
よく草を刈って放牧場に放り込んでくれるご近所さんが、少し遠いところで草刈り機を動かし始めた時のこと。
詩が、早く草がほしいと待ちきれずに、ヒヒーン!と鳴いた。
群れの仲間を呼ぶという雰囲気ではなかったと思う。
詩が食べているエサを楽が食べようとすると、詩は、キーッと鳴いて、楽を威嚇する。馬は群れの順位付けが厳格で、ボスの詩は何でも一番でなければ気が済まないらしい。
そのせいか、自己主張のために詩はよく鳴くと思う。
ちなみに楽は、ほとんど鳴かない。
陽は、生まれて間もないころは、ヤギのようにメヘヘメヘヘとよく鳴いていた。
だんだん少なくなってきたが、大人の馬よりはよく鳴いていると思う。
母馬と離れたときは、母馬を探してヒヒーンと鳴きながら走り回っている。
人間と遊んでいて、人間が離れたとき、「こっちに来てよ」と呼ぶようにヒヒーンと鳴くこともある。
先日、近所の4歳の女の子が、馬たちの前で、高い声でヒヒーンと馬の鳴きまねをした。
楽も詩も無反応だったが、陽は、ヒヒーンと応えた。
女の子がまたヒヒーンと鳴きまねをすると、陽はまたヒヒーンと鳴いた。
陽とお話できるんだね!と、私たちはヤンヤヤンヤの大喜びだった。
ご近所で草刈り機を動かし始めたときの馬たち
陽は、よくひなたぼっこしている。