クラさんと流鏑馬 その2
流鏑馬は、走る馬の上で弓を引く。
まず、馬に乗って駆け足しても落っこちないようにならないと…。
詩を馬装して、丸馬場へ連れてきた。
乗馬経験のないクラさんは、とりあえずテクテク歩く常足から始めた。
手綱を操作したり、足を使ったりして、進めたり、止めたり、曲がったりする練習をする。
いきなり駆け足するのはさすがに難しいので、少し速足を体験してもらうことにした。
私が中央に立ち、詩にリードをつけて、長鞭で追う。
詩は、いつも面倒くさそうにダラダラ歩いているので、急に走り出したりしないという点で、慣れていない人が乗っても不安が少ない。
速足になると、振動が大きくなるため、クラさんもバランスを取るのが難しかったようだ。
それでも少しは速足のまま乗っていられた。
あとはまた常足でテクテク歩いて、今日の練習を終えた。
クラさんは、かなり楽しかったようで、また練習に来たい、いつか駆け足したいと言っていた。
以前、流鏑馬をやっていたとき、馬さえある程度の調教ができていれば、乗馬初心者でも本番の舞台に出ていた。
見た目のハデさから、難しい技術が必要に見えるのだが、馬場馬術や障害馬術などに比べたら、乗り手も調教も、技術的にははるかにハードルは低い。
馬にとっても、自分のペースで180m程度走ればいいだけで、特殊な身体能力や体力も必要ない。
乗馬クラブの中には、ちょっと年をとっただけ、ちょっと能力が劣るだけで、その馬は不要と考えるところもある。
もっと流鏑馬が一般的に広く楽しまれるようになれば、馬たちの仕事が増え、不幸になる馬が減るのではないか、とその頃は思っていた。
馬装した詩の鐙を噛んで遊ぶ陽
工事用ヘルメットにハッピで乗ったクラさん
ホントはこのくらいの練習ができたらと思う。長く流鏑馬をやっている人の練習風景。