楽との出会い
2014年12月、うちに迎える馬を決めるため、北海道の牧場に行って、その年に離乳したばかりの馬たちを見せてもらった。
離乳したばかりの生後半年ほどの子馬たちは、昼間は柵に繋がれ、夜は馬房に入る。
1~2週間ほどで、子馬だけの群れにして、また山へ放牧するそうだ。
離乳直後の1~2週間、昼間繋いでおく理由は、約半年後にセリに出すためだった。
トラックの中で繋いだり、セリで繋がれた状態でじっとしていなければならないため、繋がれておく調教だけは必要なのだ。
私としては、馬を引いてみて決めたいと思ったのだが、引く調教はしていないので、難しいかもしれないということだった。
危ないからヘルメットと安全靴で来てほしいとも言われた。
行ってみると、確かに野性味が強い馬たちだった。
人の手が入らないと、こういうものなのかなと思った。
人間が近づくだけでバタついてしまう馬もいて、繋いでおくことはできても、まずトラックにどうやって乗せるんだろう、と思った。
その中で、隣の馬にちょっかいを出して蹴られている馬がいた。
引いてみると、トコトコついてきた。
止まると、ふざけて服を噛んでくる。
人懐こくて、好奇心旺盛、明るい性格だなと思った。
楽が、あの時のことを覚えているのかどうか、わからない。
うちに来るために、牛を乗せたトラックに馬1頭だけ乗せられ、馬のいない環境に来て、初めは私たちのこともずいぶん警戒していた。
今はすっかり甘えん坊で、気が小さくて、大人しい性格になった。
環境の変化が影響したのだろうか、本当は元々そういう性格だったのか、それとも詩が強すぎるのか…。
去勢もしていない、しかも未調教のオス馬なんて、素人に飼える訳がない、とあちこちから散々言われてきた。
なので、こちらも決死の覚悟をしていたつもりだったけど、拍子抜けしてしまった。
北海道にいたときの楽。2014年12月、生後7ヶ月。
鞍を付ける練習中。2015年5月。