詩との出会い
詩は、生まれてから去年の9月、3才でうちに来るまで、北海道大学の静内牧場にいた。
北大では、種の保存のため道産子を繁殖している。
他の多くの道産子牧場と同じで、春になると繁殖牝馬の群れの中に種馬を1頭入れる。
翌年春に生まれた子馬は、離乳後、オスのほぼ全頭、メスは繁殖に残す馬以外、毎年セリに出されている。
昔は、農業や運搬などの労働に使われた道産子だが、今はセリに出されても、ほとんどが食肉用の肥育牧場に買い取られていく。
詩は離乳後、セリに出荷されるはずだったのだが、トラックに乗る直前に足をバラ線で切ってしまい、その年は出荷できなかった。
楽と同じく、それまではほとんど人の手が入っていなかったが、ケガの手当てを受けたことで、人に触られることに慣れていった、と聞いていた。
メスで残っているのは繁殖牝馬だけなので譲れないが、この馬は今年のセリに出すからいいよ、ということで、その年のセリ値で譲ってもらえた。
年も楽より上だったし、うちに来たときから落ち着きと貫禄があった。
まるで、ずっと前からうちにいたような雰囲気があった。
人懐こく、でも、楽に対しては強気で、2頭の間では主導権を取った。
今年の春、詩は削蹄もしたし、初めての予防接種も受けた。
どちらも、楽よりも緊張しているように思えた。
考えてみたら、まだうちに来て半年しか経っていなかったし、完全には環境に慣れていなかったのかもしれない。
楽のときは慎重にやっていた乗るための調教も、詩のときは多少雑になってしまった。
なんとなく大丈夫そうだったので、いろいろ急いでしまったような気もする。
うちに来て2日後の詩