初めての伝貧検査と黄色い手帳
馬を飼育する場合、家畜伝染病予防法という法律があって、馬伝染性貧血(伝貧)にかかっていないかどうか、保健所の検査を受けることになっている。
最近はあまり見つかっていない伝染病らしいが、陽性だと殺処分されてしまうという恐ろしい病気だ。
昔は毎年検査があったそうだが、今は、埼玉では5年に1度になっている。
この伝貧検査、採血の注射を打つため、注射に慣れていない馬は、暴れたり立ち上がったりするという。
楽や詩は、北海道にいたとき、予防接種など受けたことがなかったので、まず、この検査自体ハードルが高かった。
まだ楽が来たばかりの去年の1月、ちょっとしたきっかけで、うちで馬を飼育していることが保健所に伝わってしまい、保健所から携帯に何度も着信があった。
たぶん、伝貧検査のことだろうなと思い、以前から馬のことを教わっている先生に相談すると、「家保(家畜保健所)の獣医はヘタクソだぞ。なるべく引っ張れ」というアドバイスをもらった。
とりあえず放置状態のまま、去年の9月には詩が来て2頭になり、あわただしく今年の春を迎えた。
忘れていたわけではないのだが、こちらから連絡しなくてもいいだろうと思っていた。
そんなとき突然、保健所の獣医さんが乗り込んできた。
たまたま家にいた70代の母が出て行くと、保健所の獣医さんは、「(馬を)捕まえられますかねえ…」と心配そうに言ったそうだ。
心配には及ばず、楽も詩も、エサにつられて簡単に捕まった。
家に帰ってから話を聞いて、ちょっと冷や汗をかいたけど、注射のほうも、大人しく無事受けることができたそうだった。
2頭とも、つい先日無事に予防接種も受けた後だったし、もう注射は大丈夫かな、と思っていたところだったので、タイミングもよかった。
そしてなにより、1週間後、検査は陰性という結果が出てホッとした。
保健所の獣医さんが、検査結果と一緒に、馬の黄色い健康手帳を持ってきてくれた。
馬の身分証明書のようなもので、これで、馬たちをちょっと一人前に出来たなあとうれしかった。
2頭の手帳。けっこう修正した後があった