冬の馬たち 冬の風
埼玉は、夏は暑いでしょう?とよく言われる。
でも、都内に通勤していると、都内も十分暑いと感じる。
ビルばかりで風通しが悪く、下はアスファルトで照り返しが強いため、余計に暑さを感じるのかもしれない。
家の周りはほとんど畑や田んぼで、風通しはよく、下は土で、真夏でも昼間は冷房を使わないこともある。
ニュースでは、最高気温を叩き出したと騒いでいることがあるけど、駅前など街中に比べたら、同じ市内でもそこまで暑くないんじゃないかと思っている。
「この辺は、夏じゃなくて冬だよ!」
引っ越してきたときに、ご近所さんに言われたことがある。
本当にそう思う。
冬はすごい。
とにかく風が強い。
まるで毎日が台風。
玄関のドアを開けられない。
開いたら閉められない。
母は、よく窓から出入りしているぐらいだ。
馬たちも、多少はこの強風を警戒していると思う。
乗馬クラブなどでは、強風の場合、乗れる馬が限られることがある。
馬によっては、強風に驚いて、暴走してしまうことがあるからだ。
楽のようにちょっと怖がりな馬は、強風の日に乗るのは躊躇してしまう。
それでも、毎日毎日の強風にはさすがに慣れてきたのか、実際乗ってみると、特にいつもと変わった様子はなかったりする。
でも、いつもは単独行動していることが多い詩が、強風のときだけは楽や陽とべったり一緒にいるから、やっぱりちょっとは怖いのかなと思う。
強風の中でも、気にも留めず母を乗せていた詩
陽もときどき無口をつけて引き馬の練習をしている。
冬の馬たち 冬の水
12月と年が明けた1月とでは、朝の寒さが全然違う。
去年の1月はこんな感じだった。
朝起きて、エサをやって、水を足そうと思ったら、水道が凍っていて水が出ない。
仕方なく、家の水道でぬるま湯をくんで、エッチラオッチラ運び、水桶にあける。
やっぱり冷たい水よりも、ぬるま湯のほうが馬はよく飲んでいる。
水桶は、20Lのものが2つ。
これをいっぱいにしておく。
夜、家に帰ってきてエサをやるとき、水道はまた凍っている。
週末は朝遅く起きるけど、8時ごろではまだ凍っている。
水道は、1~2月はまったく役に立たないなと去年は思っていた。
ところが今年はちょっと違った。
朝、水道が凍っていた日は数えるほどしかなかった。
寒い日が少ないのもあるだろうし、ホースを頑丈なものに変えたのもよかったのかもしれない。
特に、今の詩は授乳中で、水を飲む量が増えている。
楽の2倍は飲む。
エサが乾草ということもあって、1食ごとに10L以上飲んでいると思う。
陽もまだおっぱいを飲んでいるけど、水もよく飲むようになっている。
そういうわけで、今年、水やりがちょっと楽になっているのはとても助かっている。
ところで、水桶が凍っていると、神経質な馬は、水を飲めずに脱水症状をおこす場合があるそうだ。
道産子の場合は、氷を鼻でバンバン砕いて飲んでいる。
この辺も手間のかからない道産子のたくましさを感じる。
今日もみんなでお昼寝
馬たちと整体
最近、楽が速足や駆け足を継続せず、勝手にやめてしまう状態になってしまった。
週末には少し乗ってみたり、調馬索といって、丸馬場でリードをつけて長鞭で追い運動をやってみたりしている。
相変わらず、一度止まってしまうと、長鞭で追ってもなかなか動かない。
長鞭の先がちょっとくらい当たっても、「平気だもーん。動くのヤダもーん」という感じで動かない。
緊張感がまったくないようだ。
ワガママもあると思う。
そのほかに、以前、後ろ足を痛め、跛行(ビッコの状態)していたことがあった。
もう治ったと思っていたけど、よく見るとまだ少し跛行していることに気が付いた。
獣医さんに相談したときは、「たいしたことないからほっときなよ」と言われた。
確かに重症には見えないけど、やっぱりちょっと気になる。
もしかして、整体やカイロなら違った見方があるかもしれない。
去年、ひどい腰痛になり、病院、整体、針治療とあちこち通ってみた。
どこへ行ってもよくならなかったのが、今通っている整体で、あっさり治ってしまった。
そこで先生に、ペット整体をやっているか聞いてみた。
やっている、ということだったので、出張整体をお願いしてみることにした。
先生は、少しびっくりした様子だった。
馬には施術したことないということだったけど、詳しい事情を説明したところ、いろいろ考えて引き受けてくださった。
私も馬にどう施術するのかという好奇心もあるし、効果があればいいなと思っている。
それはそれとして、速足や駆け足を勝手にやめてしまうクセがつくとよくない。
そこで、新しい方法を考えた。
長鞭の先に、買い物袋を付けてみた。
いつものように、丸馬場でリードを付けて長鞭で追ってみた。
バタバタたなびく買い物袋を見て、楽は緊張していきなり走り出した。
落ち着いてくると、一定のテンポで速足を継続している。
いい感じだ。
止まりそうになったとき、すかさず買い物袋をチラつかせれば、真面目に速足を続ける。
多少の緊張感を保つことができたようだ。
しばらくはこの方法で軽い運動をさせようと思った。
馬装した楽。
長鞭の先に買い物袋を付けてみた。
昼寝も丸馬場で。
馬たちと稲わらロール
近所に、長く酪農をやっている方がいて、牛も馬も同じ大型動物ということで、時々お話を聞いて勉強させてもらっている。
秋以降は、田んぼや畑の仕事もあり、忙しそうだったので、なかなかお邪魔する機会がなかった。
先日、久しぶりにうかがったところ、もう仕事が落ち着いたそうで、しばらく話をしているうちに、刈り取った稲わらの話になった。
刈り取った稲わらは、ロールにして、ビニールを巻いてしばらく置いておく。
そうするとアクが抜けて食べやすくなるらしい。
牛たちはよく食べるそうだ。
今年刈り取ったロールを保管するので、去年の余ったヤツがあるけど、いらない?と聞かれた。
というわけで、ひとつ譲ってもらうことになった。
稲わらロールは、高さ、直径ともに1.2メートルあって、人力では運べない。
これを重機で運んでもらった。
酪農で使用する重機は、見たことのないものばかりで、写真を撮らせてほしいとお願いした。
馬たちは、楽だけは重機を怖がっていたけど、詩も陽も驚いたりはせず、稲わらは早速食べていた。
一般家庭に入ってくると迫力がある。
この後、下に落として、倒して軒下に入れた
馬たちと牧草
馬たちのエサは、近くの酪農協会から乾草の牧草を購入している。
牧草の種類はいろいろあるけど、うちではイタリアンストローという牧草を主に与えている。
最初は、チモシーという牧草を与えていた。
チモシーは栄養価が高く、馬たちの好物だけど、うちの馬のように、食べて寝て遊んでいるだけの道産子の場合、ちょっと栄養価が高すぎるらしい。
道産子はもともと、北海道で雪を掘り返して笹を食べて生きてきたような馬だから、少ない栄養分で問題ないそうだ。
以前まだチモシーを与えていたとき、予防接種に来た獣医さんに、これ以上太らせないよう注意された。
獣医さんは、その辺の草刈って与えておけばいいよ、と言っていたけど、草を刈る手間と時間はとても確保できない。
そこで、チモシーに比べたら栄養価の低いイタリアンストローに変えたのだった。
値段のほうは、チモシーが1キロ約70円なのに対し、イタリアンストローは1キロ30円を切るくらいで、飼い主のお財布にも優しい価格になっている。
馬たちには、1日1頭4キロくらい牧草を与えている。
よく、馬を飼うってお金がかかるんでしょう?といわれるけど、この話をすると、会社の先輩から「うちの犬のほうがエサ代高いわよ!」と言われる。
ひとつ、ワンちゃんより苦労があるのは、牧草の重さだと思う。
何頭も飼育している牧場なら配達してもらえるが、うちのように少ない頭数だと、軽トラで自分で取りに行く。
積むときはフォークリフトみたいなので積んでもらい、帰ってきて自分で下ろす。
チモシーの場合、1梱包で約30キロ。
これは何とか持って運べる。
イタリアンストローの場合、1梱包で約55キロ。
これはどうにもならない。
ここは工夫しかない。
軽トラの荷台からうまく一輪車に落として、物置までどうにか運んでいる。
陽がエサを食べるようになった頃、よく物置に入りたがった。
たまに思い出すとハーネスを付けて、詩と一緒に歩く練習をやっている。
この日は夕焼けがきれいだった。
陽の自己主張
陽は、最近は楽と遊ぶことが多くなっていて、楽が近くにいないときは、ヒヒーンと鳴いて呼ぶことがある。
人間が近づいてもヒヒーンと鳴いて呼ぶことがあるし、自己主張が強くなってきたなあと思う。
しかも、人間からチヤホヤされているせいか、自分が構ってほしいときは、いつでも構ってもらえる、と思っているようだ。
先日、クラさんが丸馬場で詩に乗っていた時のこと。
私もその様子を見ていると、陽は、誰も相手にしてくれないせいか、しつこくまとわりついてきた。
噛み付いてきたり、走ってきて飛びかかってきたりする。
コラッと怒ると、反省しているのか、次の策を練っているのか、後ろを向いて3秒くらいうつむいている。
そして、めげずにまた遊びに来る。
この様子がまた、小さい頃の楽に似ている。
クラさんが詩に乗っている間、楽に乗ろうと思い、楽を連れて畑の放牧場へ入った。
このときも、陽は放牧場に入ってきてしまい、仕方なくそのまま出入り口の扉を閉めた。
陽は、楽が動き出したとたん、楽に飛びかかって遊ぼうとする。
馬も人も全然集中できない…。
それに飽きると、放牧場から出たくなったらしく、ヒヒーンと鳴いている。
いつも振り回されてしまい、ため息が出るときもある。
でも、こういうのも今だけなんだろうなあと思うと、時間を惜しむ気持ちになった。
楽に乗りながら写真を撮ってみた。遊ぼうよ!と楽に飛び掛ったり噛んだりする陽。
噛んでやる~
ずっとまとわりついていた。
クラさん、今年初の流鏑馬稽古
日曜日、朝8時ごろ起きたら、雪が降っていてギョッとした。
まさか積もるのかなと思った。
夕べ遅く、クラさんから、明日行ってもいいかというメールが来ていたことに気が付いた。
かまわないけど、雪が降っているよと返信して、馬たちのエサをやりに行った。
ゆうべ、明日は寒くなるという予報だったから、馬房にもみがらを多めに入れておいた。
馬たちのお腹には、もみがらがついていたから、たぶん夜は馬房で寝たのだと思う。
でも、朝出て行ったときには、薄く雪が積もった丸馬場で朝寝していた。
昼過ぎにクラさんが到着。
まずは弓の練習、そのあとはいつものように、馬の練習をした。
今日は、詩を馬装するところから練習してもらった。
まず、馬にリードを付けるために、馬の頭に無口を付ける。
これが意外と難しいらしい。
コツがわかればすぐ付けられるけど、詩が「コイツはわかってないな」と人をバカにしている場合、首を振って、なかなか付けさせてくれない。
四苦八苦して馬装して、やっと丸馬場でまたがった。
いつものように、時間をかけてゆっくりと歩く。
そしていつもなら、歩いて終わりにしてしまうけど、今日のクラさんは、ちょっと速足をやってみたいと、詩に速足の掛け声をかけた。
ハラハラしたけど、何とか大丈夫だった。
自分でもバランス感覚が悪いと言っていたけど、何回も乗っているせいか、馬の動きにも慣れたのだと思う。
速足に慣れたら、いずれは駆け足がしたいと、新年の抱負を話した。
寒い朝でも、朝ごはんには元気に集まってくる
放牧場は少しだけ白くなっていた。
少しだけ速足ができた。